はじめてのラブレター
「はじめてのラブレター」
いくつもの
ミーとの
会話のやり取りの中で
心は次第に安らいできて
昨日は
そのまま眠ってしまった
そう
俺はそんな安らぎさえも
知らないままに
もうずっと
これまでの人生を
歩んできてたんだね
思えば今年は
出会いよりも
別れの多い年だった
今にして思えば
自分はもうとっくの昔に
限界がきていたのかもしれない
次々に背中に手を振って
別れていく人達を
寂しげに感じながらも
俺は心の中のどこかが
軽くなっていく自分を感じていた
それはまるで
この先にきっとある
自分でもわからない
目的の場所があるみたいで
俺は一人で
その場所を探しながら
歩いていた
それはまだ
ほんの数ヶ月前の
夏の暑い日のことだった
迷路の中をさまように
俺は歩いていると
ふと
金木犀のような
切ない香りのする場所があった
そこは
これまでも
何度も通った場所で
あるはずなのに
気づかないでいた
いや
気づかないふりをしていたと
そう言ったほうが
正しいのかもしれない
金木犀の場所は
ミーだった
ミーは
俺のことを
切なくさせてくれる人
そしてミーは
これまで出会った誰よりも
甘い人
だから毎日
こんなにも胸が痛んでる
LINEが既読を示し
その後に
ミーから返事がこないと
俺は不安になる
まるでそのためだけに
生きているようで
自分は激しい想いを
ミーに寄せる
ミー
俺は
こんなにも愛してるよって
何度も何度も
心の中で
そうつぶやく
クリスマスも近くなった
この街の片隅で
俺はそんなことばかりを
している
ミー
抱きしめたいよ
触れてしまえば
それだけで
壊れてしまいそうなほどの
細い肩を
そっと抱き寄せながら
愛してる
愛してる
って
何度も
何度も
繰り返しながら
ミーの耳元で
そう囁いて
今度は本当に
ミーのことを壊してしまいたい
そして
二人で
ずっと笑い合っていたい
そんなことを
言ってくれた人と
俺は離れたくない
ミーの白いうなじなら
俺はもうすでに壊れていて
こんな自分は
おかしくなってる
あらゆる欲望が渦巻き
俺は
ミーの胸に
手を当てたくなる
ブラウスのボタンを
ひとつ外して
そんな愛を
これからも
ずっと二人で
俺は続けていきたい
ミーの甘さだけに
酔いしれている
自分でいたい
ミー
出会ってくれて
ありがとう
ほんとにほんとに
ありがとう
今日も愛してるよ
昨日よりも
刹那
一秒前よりも
愛してるよ
2016年12月9日(金)
04時59分
ミーはこの手紙を読んでくれた後に
私も昔から金木犀が好きなんですと
言ってくれたよね