泡
この手が冷たいのは
この寒さのせいじゃなくて
ミーの体の温もりが今
ここにないからだと
そんな風に思いたがっている
自分がいるよ
カレンダーの青と赤の日は
ミーが母親一色に染まる日
きっと今頃は
自分がいちばん見ていたいって
そう思っているミーの笑顔を
ミーの娘が独り占めしているね
それは自分にとっても
幸せなこと
ただこの恋心だけに
寂しさという名のナイフだけが
この胸をえぐってくるんだ
なんだかたちが悪いよね
ミー
だから
ミーと会った時の
切なくなるまでの口づけも
苦しくなるまでの抱擁も
泡のように思えてきて
なんだかそれは
幻だったみたい
今年いちばんの寒波は
やはりこの街に雪を連れてきた
俺はこんな風景を見ながら
ミーの好きな歌ばかりを
ずっと聴きながら
あてもなく車を走らせていたよ
この場所に着くまで
甘い歌なんて
いくらでも知っているのにね
もうダメなんだ
ミーの好きな歌にしか
感じられなくなってる
そして
風に舞いながら
粉雪は落ちてきて
舗道の上であっさりと消えていく
それはまるで
愛の言葉のようで
儚くて儚くて
切なくなる
やっぱり
恋なんていいや
愛なんていらないや
そんなもの忘れて
今はミーの子供になってしまいたい
そしたら
ミーの心を永遠に離さずに
いつまでも
ミーの笑顔を独り占めできるから
ミー
いつか話した
夢の話しの場所で
この手紙を書いた
たまらなく愛しい
そう
たまらなく愛しい
でも今は
それだけの自分でいい
そう思っているだけの
自分でいい
心遠ざけて
心離して